愛車を売るなど、何らかの事情で自動車を手放した人の中には、自動車税の還付を受けた経験がある人もいると思います。
手続きは買取業者などにお願いした、という人もいると思いますが、手続きの流れや還付の条件が分かれば、誰でも還付手続きができます。
そこでこの記事では、自動車税の還付について、概要や必要条件・手続きの流れなどをご紹介していきます。自分が支払った自動車税の金額に当てはめて、確認にお役立てください。
目次
自動車税はどのように還付されるのか
自動車税の還付は、どのような車にも当てはまるわけではなく、時期や種別などにより条件があります。以下に、主な概要をご紹介します。
毎年4月1日を基準に、車の所有者に対して税金がかかる
自動車税は、毎月4月1日を基準にして計算される税金で、この日に車を保有している人を対象とした税金です。納付書は5月に届き、納税は5月末・もしくは6月頭までとするケースが多く見られます。
税額は、総排気量や車の用途に応じて定められ、軽自動車は自家用乗用の場合で10,800円になります。(令和2年3月時)
還付というのは、1年分の税金として支払った自動車税を、月割り計算で税事務所が返してくれることを言います。
普通自動車は、車を手放した段階で過去に支払った分の一部が戻ってくる
普通自動車の保有者が支払う自動車税は、総じて高い傾向にあります。
2019年9月30日以前に新車登録した車の場合、総排気量1リットル以下でも29,500円、2.5リットルを超えて3.0リットル以下の車なら51,000円になります。
車を持つだけで、これだけの税金がかかってしまうわけですから、自動車税を支払えずに車を手放す人が出てくるのは、致し方ないことなのかもしれません。
ただ、手放したタイミングが支払って間もなければ、その分戻ってくる税金の金額も大きくなります。
仮に、5月に自動車税を納付して、8月に車を手放し自動車税の還付を受けることになったとします。すると、9月・10月・11月・12月・1月・2月・3月の7か月分が還付されます。
納税額が51,000円だった場合、以下のような計算式で還付額の概算が計算できます。
【51,000円‐(51,000円×7カ月÷12か月)=29,750円】
計算の結果、上記の例では概算で29,750円が戻ってきます。
軽自動車には、自動車税の還付という概念はない
残念ながら、軽自動車は月割り還付制度が設けられていないため、自動車税の還付を受けられません。
還付を受けることを目的に自動車を買う人はいないと思いますが、軽自動車を購入するなら、購入時の参考情報として覚えておきましょう。
自動車税の還付を受けるための条件について
続いては、自動車税の還付を受けるにあたっての条件についてお伝えします。
それほど難しい条件が課されているわけではなく、自動車税をすでに支払っている人で、まだ還付されるだけの前払い分があれば、基本的には該当するものと考えてよいでしょう。
抹消登録を終えていること
自動車税を還付してもらう際の条件として重要なのは、車の所有権を持っていないかどうかです。所有権を手放すためには、抹消登録という手続きを踏まなければなりません。
この抹消登録には2種類あり、車そのものを解体してしまう「永久抹消」と、一時的にナンバーを外して持ち主が所有権を失う「一時抹消」に分かれます。どちらを選んでも抹消登録扱いとなり、自動車税の還付の対象となります。
注意点としては、解体業者などに車を引き取ってもらう際、きちんと抹消登録まで手続きを済ませてもらうことです。
所有者の情報が変わらなければ、自動車税の還付が受けられないだけでなく、将来的に自動車税の請求を受ける可能性があります。
また、車自体はまだ走るため、業者に買い取ってもらう・知人や家族にあげる場合などは、抹消をせず名義変更の手続きで終わる場合があります。
このようなケースでは、抹消がなされていないため、自動車税の還付の対象外となりますから注意が必要です。
月割りで計算できる期間が残っていること
5月末に自動車税を支払い、その年度内に何らかの事情で車を手放すことになったら、その月から起算して翌月分から還付の計算対象となります。
しかし、翌月分から起算するということは、仮に3月に自動車を手放すことを決めた場合、自動車税は還付されません。
このことを踏まえ、確実に自動車税を還付して欲しいと考えているなら、最悪1~2月までに車を手放す決断をしましょう。なお、軽自動車は月割り計算の対象外となりますので、ここでは割愛します。
地方税等の滞納がないこと
当てはまる人は少数派にあたりますが、仮に地方税等の滞納がある場合、自動車税の還付分は滞納分に充当されます。自動車税の還付金を受け取るためには、滞納分の税金を先に納付する必要があります。
住民税や健康保険など、支払うのをついつい忘れて滞納が続いてしまうという人は、できるだけ毎月の支払いを管理するよう気を付けましょう。思わぬところで滞納を指摘され、せっかくの還付金が少なくなってしまうかもしれません。
自動車税の還付の手続きについて
還付に関する手続きは、各都道府県の税事務所ではなく、運輸支局での手続きで完了します。運輸支局では抹消登録手続きを受け付けていますから、そちらで必要な手続きを終えれば、後で還付金を受け取れます。
基本的には、運輸支局で抹消登録手続きを終えれば問題ない
自動車税の還付に関して、実際に支払い手続きを行っているのは、税事務所と呼ばれる組織です。各都道府県ごとに管轄が決まっているため、例えば札幌市の場合なら「札幌道税事務所」が還付の手続きを行っています。
しかし、自動車の抹消登録を受け付ける管轄は運輸支局となっているため、まずはこちらで抹消登録の手続きを行います。その後、抹消登録の情報は自動的に都道府県の税事務所に届くため、あえて報告を行う必要もありません。
ただ、自治体の事情により、還付にあたって必要書類が異なる場合もありますから、お住まいの地域における税事務所のサイト・運輸支局のサイト情報を確認したいところです。
抹消登録のために必要な書類
抹消登録に必要な書類は、大きく3種類に分けられます。用意する書類がやや煩雑になり、紛らわしい名称のものもありますから、混同しないよう気を付けましょう。
①事前に用意するもの
廃車手続きにおいて、取り急ぎ自分で用意するものは、以下の通りです。
<永久抹消の場合>
- 自動車検査証(車検証)
- ナンバープレート(前後2枚)
- 車の名義人の印鑑証明書(発行後3ケ月以内のもの)
- 移動報告番号、解体報告記録日の控え
- 車の名義人の実印(印鑑証明書の印鑑)
<一時抹消の場合>
- 自動車検査証(車検証)
- ナンバープレート(前後2枚)
- 車の名義人の印鑑証明書(発行後3ケ月以内のもの)
- 車の名義人の実印(印鑑証明書の印鑑)
永久抹消の場合、引き取り業者から「移動報告番号」と「解体報告記録日」の連絡が来なければ、登録ができません。確認を忘れないようにしましょう。
なお、リサイクル券を持っている場合は、リサイクル券番号という16ケタの数字が、移動報告番号となります。
万一、リサイクル券を紛失してしまった・購入時にもらえなかった場合でも、自動車リサイクルシステムに自動車情報を入力すれば、リサイクル料金の預託状況・リサイクル券番号が分かります。
リサイクル料金が預託されていない車の場合、車の持ち主は自分で支払う必要がありますので注意してください。
②当日に用意するもの
- 永久抹消登録申請書
- 手数料納付書
- 自動車税・自動車取得税申告書
運輸支局の受付に確認すると、抹消登録に必要な書類等について説明してくれます。手数料納付書には、手数料に相当する金額の印紙を貼り付けて申請します。なお、手数料がかかるのは一時抹消登録の場合で、印紙代は350円となります。
③その他、状況に応じて必要なもの
- 住民票(車検証の住所と現住所の間に、1回だけ住所変更をした場合)
- 戸籍謄本の附票(車検証の住所と現住所の間に、2回以上住所変更をした場合)
- 委任状(抹消登録を業者・行政書士等にお願いする場合)
業者経由で抹消登録の代行をお願いする場合、リサイクル券の提出も必要ですから、あらかじめ準備しておきましょう。
受取方法は窓口もしくは口座振込
無事抹消登録が完了したら、およそ1~2ケ月ほどで自動車税の還付金が受け取れます。受取方法は2種類で、金融機関の窓口に行って直接もらう方法と、自分が指定した口座に振り込んでもらう方法があります。
金融機関で直接受け取る場合は、ゆうちょ銀行なら「振替払出証書」が、その他金融機関(銀行等)なら「送金支払通知書」が自宅に送られます。
手続きの際に口座を指定しているなら「国税還付金振込通知書」という書類が届き、その中に振り込まれる金額・手続開始年月日が記載されています。内容を確認したら、通帳記帳を行ってみることをおすすめします。
おわりに
自動車税の還付は、抹消登録以外に特別な手続きは必要ありません。ただ、申請する時期によっては、自分が想定している金額の還付金を受け取れない可能性があります。
申請に手間取り時間がかかってしまうと、その分受け取れる額も少なくなりますから、あらかじめ何が必要かをきちんと把握して、確実に手続きを進めましょう。
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