トヨタから発売されたミニバンの中でも、エスティマは現代に通じるデザインの元祖とも言えるでしょう。
1989年の東京モーターショーでコンセプトモデルとして発表された後、市場投入は半年後というスピードで、発表当時から注目を集めていました。
およそ車には似つかわしくない丸みを帯びたデザインが人気となって、2019年の生産終了まで、およそ30年の長きにわたり愛されてきました。
今回は、そんなトヨタ・エスティマについて、車の概要や歴史・評判・ライバル車などの情報をご紹介します。
目次
エスティマは廃車でも高価買取が狙える!
エスティマは国内市場だけでなく、海外でも人気があることをご存じでしょうか。もともとハイエースやカローラなどトヨタ車の人気が高い傾向にあるなかで、ミドルサイズミニバンは時間とともに海外マーケットでも受け入れられるようになりました。
海外市場でも使い勝手のよいSUVミニバンは大変ニーズが高いです。なかでも悪路での安定した走行性や、居住性を兼ねそろえたエスティマは、実用性のうえでも多くのユーザーに支持を得ます。残念ながら(海外では)初代こそ振るわなかったものの、二代目・三代目モデルは、需要が高いのが特徴です。
エスティマは事故車や不動車でもOK
人気が高いのはわかったけど、動かない車ではダメでしょ?
そう思っている方はいませんか。たしかに動く車や状態の良い車両のほうが、高価査定を狙いやすいのも事実です。さらに豊富なオプション(寒冷地仕様や、ムーンルーフなど)が装備されていれば言うことはありません。
そういったコンディションのよい車に関しては、まだまだ日本国内の中古車市場でも需要があります。走行距離の多い車両であっても、国内用の査定額が期待できるでしょう。
一方で長らく放置していたためにエンジンがかからない車や、事故でフロント部分が大破してしまった車など、商品価値が著しく落ちている場合でも、廃車業者は金額をつけて買い取ってくれることが多いです。理由はかんたんで、中古部品の需要が高いからです。
解体処理後の中古部品を再販する
廃車買取業者は基本的にどんな状態の車両でも買い取っていきます。引き取った車は解体処理をしたのちに、まだ使用できる部品とそうでないものに仕分けされます。(壊れてしまったパーツのほかに、鉄やアルミなど資源として再利用できるものがあります)
エスティマの品質の良い中古部品は、日本国内だけではなく海外市場にも売りに出されます。エンジン・ミッション・サスペンションといった機構部。ボンネット・ドア・バンパー・フェンダーといった外装部。ほかにも内装部品からスイッチ類、ライト類とどんな部品にも需要があります。
生きている車を海外に運び、乗り続けているうちにやがてぶつけたり、調子が悪くなったりという事態は必ず起こります。すると代替えの部品が必要になるのですが、自国の車ではないため、品数はけっして多いわけではありません。日本国内で廃車業者が解体処理のうえばらした中古パーツの一つ一つが、求められて海外に渡っていきます。
エスティマを高く売るコツ
これはエスティマに限らずどの車種にも言えることですが、今からお伝えする方法以外に高く売るコツはないと言っても過言ではありません。
それは査定をする際は1社で終わらず、複数(できれば3社以上)の業者にきくことです。まず1社の査定では金額のポテンシャルがわかりません。2万円と提示されたところで、それが高いのか安いのか、判断することができませんよね。
この高いのか安いのか判断できない、という点が足元を見られる金額提示につながるのです。正しい情報を持っていれば、提示額に対して適切なジャッジをくだすことができます。
とはいえ一般の方がクルマの相場観など持ち合わせているはずがないですよね。だからこそ複数の業者に聞くことによって、愛車の金額の裏付けをとっていくことへとつながります。
幸いなことに廃車の査定では実車を見ることなく査定ができます。電話やお問い合わせフォームで簡単な内容(車種や年式、走行距離など)を伝えるだけで、査定額を出してくれるのが特徴です。もしこれが高年式の車でしたらここまでスムーズにはいきません。どうしても現車を見る必要があるので、金額を出すためだけのアポイントをとる煩わしさが出てしまうのです。
廃車査定のこの手軽な特徴をいかして、複数の業者に値段の確認をとり、そのうえで最終的な処分先を決めることを強くおすすめします。はじめの1件に連絡すると気づくことなのですが、”廃車の査定ってこんなに簡単なのか!”と膝を打つこと間違いなしです。
また廃車業者が抱えているオーダー状況によっても査定額は変化します。在庫をかかえた業者は、すでにお腹いっぱいですから必然的に低査定になりますし、その逆にたくさんの入庫を待ち望んでいる業者もいます。これはタイミングとしか言えませんが、1社だけにあたるとなると、なかなか良いタイミングにあうことは難しいでしょう。
いかがでしょうか?『エスティマは海外市場も視野に廃車査定が期待できるので、なるべく複数の業者に問い合わせるのがベスト』ということがおわかり頂けたと思います。
さて、それでは次章からエスティマの知識(概要・歴史・評判・ライバル車など)について紹介していきます。興味がある方はぜひ目を通してみてください!
エスティマの概要と特徴
発表当時のキャッチコピー「天才タマゴ」にも表れている通り、エスティマは「ミニバンなのに卵型」という、今までのミニバンにはないデザイン性でした。
見た目は可愛らしい・おとなしい印象に感じられるのに、いざ走ってみるとスポーティー、さらには室内空間も広いという、一挙三得の機能性を実現しています。
卵型のデザインが特徴的
エスティマの卵型デザインは、1973年にトヨタが設立したアメリカのデザインスタジオ「CALTY」によって生まれました。
セリカやプリウスなど、トヨタ車の特徴的なデザインの多くは、車が生まれた国の一つ・アメリカで生まれていたのです。
卵型にしたのは伊達ではなく、室内スペースを広くしたり、衝突安全性能を高めたりする目的がありました。そして、2代目・3代目にも卵型デザインは引き継がれ、変わらない人気を集めました。
こだわった走行性能
エスティマが最初に発表された当時は、ミニバンと言えばいわゆる1BOXのことを指しており、商用車をベースに考えられていました。
しかし、エスティマは乗用車としてデザインされ、走りにこだわるミニバンとして多くのドライバーに認知されています。
ただ速いだけではなく、アンダーフロア型ミッドシップのような斬新な設計から、ミニバン初のハイブリッドモデルの実現まで、ミニバンの「こうあるべき」という理想を体現してきた車と言えます。
人に優しい設計
スタートから乗用設計となっていることもあり、基本的には人をどれだけ乗せて快適に走れるか、という点が追及されています。
シートに座るというよりは、家の一人用ソファに座っているような感覚でゆったりでき、オットマンを使ってリラックスしながら乗車できる点も魅力です。
エスティマの歴史~特異性と普及まで~
エスティマが、長年ミニバン好きの人気を集めていたのは、ミニバンに乗る人たちのニーズをしっかり把握していたからかもしれません。
発売当初から生産終了に至るまで、ドライバーや同乗者のことを考えていたのは、特筆すべきポイントと言えるでしょう。
床を平らにするための工夫
今なおエスティマの特徴として語られるのが、床が真っ平なインテリアです。フロントタイヤをフロントシート前に配置し、エンジンは横置きという、当時のハコ車の常識を覆したデザインは立派の一言。
床を平らにすることにはこだわりがあり、ハイブリッドモデルを除いては、後部座席へのウォークスルーがしやすいデザインとなっています。
多人数が乗車する、いろいろな使い勝手ができるなど、利用者の使い勝手をイメージしたものと推察されます。
FF化とハイブリッド
2代目以降、エスティマの駆動方式はFFベースとなり、ハイブリッドモデルも登場します。
次第に燃費を意識した流れに向かうことは避けられないものの、排気量が多いモデルはCVT導入などの努力を重ね、根強いファンに後押しされつつ何とか時代に食いついていました。
進化を重ねて数多くのファンを獲得するも……
発売から30年近く経っても、数台を乗り継ぐほどのコアなファンを獲得してきたエスティマですが、ミニバン市場では古さも感じさせるようになりました。
高さを意識した他社ミニバン・e-POWERに代表される新しいエネルギーの活用など、現行モデルでは手の届かない場所にミニバン市場は移りつつあります。
そのような中、トヨタはフルモデルチェンジではなく、生産終了という道を選びました。アルファード・エスクァイアなど、他モデルの方向性を活かす決断となり、エスティマファンにとっては残念な結果となってしまいました。
エスティマがなぜ人気を博したのか
エスティマが多くのドライバーに愛されたのは、決して単純なデザイン性・機能性の話だけではありません。
3代までのモデルとはいえ、逆に言えばそれで30年近い歴史を紡げたのは、その高い応用性・柔軟性にあるものと推察されます。
時代のニーズに長年合致してきた
スタートの段階から、乗用車として人を乗せることに特化したデザインだったことから、基本的に代替えしてもユーザーのニーズを損なわなかった点は、エスティマの人気を支えるのに大きく貢献したものと思われます。
どんな場面でも、大人数をゆったりとした空間で運べる魅力は、他のモデルにはないものと言えるでしょう。
ユーザーによって使い勝手が変わる柔軟性も魅力の一つ
ミニバンユーザーの多くはファミリー層ですが、それ以外の層にも訴えかけるポイントがいくつかあります。
ウォークスルーやオットマンなど、車自体が人をくつろがせる雰囲気を持っているため、単純に大勢の人を乗せるだけでなく、重役や顧客を乗せて走るために用いられることも珍しくありません。
アウトドアが好きな人は、シートを格納すればたくさんの荷物を積載できますし、バーベキューパーティーのような楽しみ方にも役立ちます。人それぞれの使い方を選べる柔軟性は、エスティマならではと言えるかもしれません。
生産終了となっても、エスティマの評価は高い
エスティマのヘビーユーザーからは、今回の生産終了を受けて「ミニバンの定番車種を潰してどうするのか」との声も聞かれます。
トヨタ車の序列だけで言えば、唯一無二のデザイン性であったことから、ファンとしては残念な気持ちが拭えないのもうなずけます。
老若男女問わず運転できるデザイン
エスティマの形状は、特定の年齢・性別を問わずウケるデザインの一つです。大きさから考えると、しいて言えば女性向けとは言い切れないかもしれませんが、子供の送り迎えに使ったとしても何ら不自然な点はありません。
どのような空間にも、さりげなく存在できるのに、圧倒的な個性を発揮するデザイン。同じレベルの車が生まれるのは、まだ先になるかもしれません。
カスタム好きの心を捉えて離さない自由度
エスティマのファンの中には、丸い形状を活かしたカスタムを試みている人もいて、フロントドアをガルウイング仕様に改造している車もあります。
車中泊好きのユーザーは、シートをフルフラットにした上で、車中泊専用のマットレスを敷いて快適性を高めるなどの工夫をしています。
汎用性の高いデザインだからこそ、個性のあるカスタムができ、必要な機能の追及ができるという好例と言えます。
ナンバーワンよりもオンリーワンの車として、生産終了となった後でも、エスティマの人気はしばらく続くものと予想されます。
エスティマとライバルになった車たち
エスティマがミニバン市場で圧倒的な人気を誇っていたならば、4代目モデルの到来も現実となったかもしれません。
しかし、残念ながらエスティマと同等以上の人気がある車は、他のメーカーも発表しており、エスティマの引退を早めた一因と考えられています。
以下に、エスティマに引導を渡したとされる、他社のライバル車をご紹介します。
ホンダ・オデッセイ
エスティマとオデッセイは、そのスタイルの類似性や走りにこだわる姿勢から、お互いにライバル車としてカーメディアなどで取り沙汰されてきました。
質感や荷室のレベルはエスティマが勝るという意見が見られるものの、乗降性や乗り心地はオデッセイの方が上という声もあり、口コミも拮抗している印象です。
最終的に、オデッセイは5代目への進化を遂げましたが、エスティマが次の時代に向けて進化の機会を与えられなかったことで、エスティマはドライバーに未来を見せられなかったものと考えられます。
マツダ・MPV
価格帯の面ではエスティマよりも安く、より走りを追求したマツダのMPVは、その走りで比較されることが多かったようです。
売れ行きはエスティマが圧倒的に優位ですが、安価な比較モデルとして紹介され、ハイブリッドを買わないならMPVを選ぶドライバーも一定数存在していました。
2016年には販売終了となり、2020年現在では中古市場の車を残すのみとなりましたが、今後の中古市場でしのぎを削るものと思われます。
日産・セレナ
ハイブリッドモデルを擁するエスティマでしたが、エネルギーの面ではe-POWERを取り入れたセレナに一歩先を行かれた印象は否めません。
充電するのではなく、自ら発電するクルマという構造は、ミニバンは燃費が悪いというイメージを覆すのに十分でした。
現行のハイブリッドを超える燃費性能を実現できなかったエスティマは、市場から古いと判断されてしまったのかもしれません。
おわりに
以上、エスティマについて、その特徴や歴史などに触れつつご紹介してきました。総じて見ると、ミニバンとしては必要十分の機能を備えており、生産を続けていてもそれなりの成績は出せていたのではないかと思われます。
しかし、周囲の進化に自分を馴染ませることができず、高級車としてのブランディングも難しいため、市場から取り残されるおそれは否定できないところがあります。根強いエスティマファンとしては、後継車を出す予定があるのか、注目したいところです。
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