いつものように車を走らせていたら、後ろから聞こえてくるサイレンの音……。
もし、自分がスピード違反で車を停められた場合、残念ながら青キップ・赤キップのいずれかを切られ、いくばくかのお金を支払わなければなりません。
ところで、この交通違反の青キップと赤キップ、具体的にどのような違いがあるのか分かりますか?実は、青キップと赤キップでは、違反の重さの度合いだけでなく、そもそもの意味合い自体が違うのです。
今回は、交通違反の青キップ・赤キップについて、反則金や罰金の違いも含め、その違いを解説します。違反をしないのがドライバーとして当然ですが、それでも念のためチェックしてみてくださいね。
目次
青キップは、反則行為を「お金で解決」する制度である
まずは、青キップについて考えてみましょう。こちらが持つ意味合いは比較的軽く、簡単に説明すると、自分が犯した反則行為につき、お金を支払うことで解決する制度になります。
青キップは、交通違反の種類に応じて反則金の金額が変わる
警察から青キップを切られた時は、交通反則通告制度に基づいた交通違反(反則行為)につき、一定の期日までに反則金を納付することにより、刑事手続きが免除されます。
交通違反の処罰については、道路交通法で点数制度を採用しており、運転者の過去3年間の交通事故・交通違反に対して一定の点数を付け、その合計点数が所定の基準に達した場合に、運転免許の取消・停止処分を行う制度となっています。
点数制度は、後述する赤キップ案件を除いては全体的に甘い設定となっており、例えば時速20km未満の速度超過では、点数1点が原点となります。
駐停車違反の場合も1~2点となっており、比較的軽微と判断された案件は、点数も低くなる傾向にあります。
しかし、点数が累積して、過去3年間の合計点数が所定の処分基準点数に達した場合、その合計点数に応じて免許の取消・停止処分となります。ただし例外も多く、以下の場合はそれ以前の点数の加算が見送られます。
- 1年間交通違反をしなかったとき
- 免許の取消し、停止処分を受けたとき
- 2年間無違反の人が、1点、2点または3点の軽微な交通違反をした後、3ヵ月間違反がない場合
このような例外ルールもありますが、初めての免停で考えると累積6点から免停30日となるため、そこまでの累積は何としても防がなければなりません。
また、交通違反の種類に応じて反則金も高くなり、同じ点数であっても危険度の度合いなどによって金額が変わります。
埼玉県警を一例にとると、15km未満の速度超過なら12,000円、15km以上20km未満なら15,000円といったように、速度が上がるほど高額になります。
青キップは、お金を支払えばそれ以上の処分にはならないものの、財布には確実にダメージを与えることを自覚しましょう。
青キップの発行は行政処分のため、裁判にはならない
反則金は、行政処分としての過料であり、比較的軽い交通違反で支払います。反則金を金融機関で納付したら、その段階で刑事事件としての刑罰が科されなくなります。
また、未成年者の場合、家庭裁判所の審判に付されなくなります。注意点としては、以下のような納付の制限があります。
- 反則金は分納できない
- 小切手、収入印紙、クレジットカード、有価証券などでの支払いができない
- 納付期限は告知を受けた日の翌日から起算して7日以内
- 納付期限までに納付できなかった場合、出頭指定日に通告センターへの出頭が必要
支払いを迅速に行わず、出頭命令も無視し続けたら、最終的に悪質と判断されて刑事事件に発展するおそれもあります。十分に注意しましょう。
青キップが生まれたきっかけは、道路交通法違反事件の激増
他の刑事事件に該当するケースと比較して、道路交通法違反については処分が甘いという印象を持つ人がいます。実のところ、これは検察庁・裁判所の活動の都合です。
スピード違反・駐停車禁止などは、車の性能や道路状況によって、自分が意識していなくても行ってしまうおそれのある違反行為です。
このような軽微な違反は、日本で全国同時多発的に起こっている状況のため、これら全てを毎日のように裁判するのは現実的ではありません。
こうして、一律に刑事手続を取るのではなく、交通反則通告制度による行政処分で処分を終了する流れが生まれました。青キップ制度を定めた交通反則通告制度は、交通量の増加に伴い1968年に制度化されています。
赤キップは、罪の代償として「お金を払う」制度である
交通違反は、青キップだけですべてが事足りるわけではなく、重大な違反は刑事処分を科されることになります。
それが赤キップで、こちらは反則金ではなく罰金の支払いとなり、罪の代償としてお金を支払う仕組みです。
赤キップは、どのような例であっても刑事処分として罰金が発生する
青キップも赤キップも、交通違反であることは変わりません。ただ、青キップが刑事責任を免除されるのに対し、赤キップは刑事責任が免除されません。
つまり、赤キップを発行された時点で、それは刑事事件となるのです。このように聞くと、なかなか重い処分に思えますが、実際に重大な違反の事例をチェックしてみると納得できます。
一般道路での30km以上の速度超過、高速道路での40km以上の速度超過、無免許での自動車運転、酒気帯び・酒酔い運転など、車を運転しない人でも圧倒的に悪いと分かる事例ばかりです。
重大な案件として処理され、前科も残る
赤キップを切られてしまうと、社会的にも重大な案件として処理され、罰金を払うことにより前科がつきます。青キップのように例外措置もないまま、裁判にかけられます。
いわゆる「一発免停」が起こるのは赤キップで、それだけ重大な違反だということです。万一自分が該当した場合は猛省し、運転のやり方そのものを見直しましょう。
免許停止どころか免許取消も
罰金は前科も残り、確かに社会的に重大な違反ですが、ドライバーとしてそれ以上に困るのが免許停止です。
しかし、免許停止はあくまでも、自動車免許(車を運転できる資格)が一時的に停められている状態ですから、一定期間が経過すれば再び運転を再開できます。
赤キップの場合、さらにその上の処分である「免許取消」があります。こちらは完全に自動車免許がはく奪されてしまうことから、もう一度自動車免許を取るために一から努力しなければなりません。
ただし、一発で免許取消になる点数はかなり高く、そもそも免許を持っていない無免許運転や、酒酔い運転などの重大な違反が該当します。
どちらも社会に与える影響が大きいことから、それ相応の罰が下されるのは、致し方ないところではあります。
深刻な状況を避けるためには
青キップはともかく、赤キップを切られることは、ドライバーとしても何とかして避けたいところです。
しかし、青キップ・赤キップともに、点数制度の考え方がベースにあるため、真面目に運転している限り深刻な状況になることはないと考えてよいでしょう。
ここからは、点数制度の基本を理解した上で、ドライバーとして深刻な状況を避けるためのエッセンスについてご紹介します。もちろん、重大な違反をして懲役・禁固の刑に服す場合は、その限りではありません。
点数制度上、どっちにしても点数は引かれる
何らかの違反をとがめられた時点で、点数制度上は青赤問わず点数は引かれます。よって、点数を引かれたこと自体は素直に認め、それ以上悪い状況を作らないため、早急に反則金・罰金を支払いましょう。
その上で気持ちを切り替え、今後違反しないためにはどうすればよいのか、何が自分にとって問題だったのかを冷静に考えます。
交通違反の大半は、スピード・一時停止・携帯電話が原因と言われ、タクシー運転手はこのような基本中の基本を守ることを徹底しているそうです。
また、シートベルトも忘れがちな基本ですから、どんなに近場でも必ず装着するようにしましょう。自分の命を大切にすることが、違反の防止につながるのです。
違反後に無事故・無違反を守れば累積点数は0になる
キップを切られたとしても、その後真面目に運転して事故を起こさない限り、いずれは累積点数がリセットされます。
これは嬉しい救済措置で、ちょっとした不注意で駐停車違反をした場合などは、おそらく同じ失敗を犯さないよう慎重になるはずです。
ただし、前例が多ければ多いほど反省の色がないものと判断され、免停期間や取消期間が早く訪れ、期間も長くなります。「点数の分だけ違反できる」といった考えは、ドライバーとして恥ずかしい限りなので止めましょう。
免許証不携帯は反則金のみで、点数は引かれない
違反項目はいくつかありますが、よく誤解されるものの一つに「免許証不携帯」があります。こちらは、運転中に免許証を携帯していなかった場合に引っかかる反則で、反則金3,000円を支払うことになります。
しかし、事故を起こしたわけではないので、点数は引かれません。悪い解釈をすれば、万一免許証を家に忘れてしまったことに気付いたとしても、極端な話警察の職質などを受けない限り、違反としてバレずにごまかし通すこともできるわけです。
焦って運転をミスしてしまい、重大な事故になっては元も子もありません。バレてしまったら仕方がないと割り切り、こういう時こそ安全運転で帰りましょう。
おわりに
以上、交通違反の青キップ・赤キップについてご紹介してきました。
一口に交通違反と言っても幅広く、点数に傷がつかないものから前科がつくものまであります。改めてチェックしてみると、その意味や重みの違いなどに驚くはずです。
ドライバーは、自分や同乗者だけでなく、道路を歩く・走る全ての存在の安全に気を配らなければなりません。決して伊達で発行されているわけではないことを自覚し、これを機会にもう一度教本に目を通して見てはいかがでしょうか。
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