いつも通勤や買い物に使っていた車が、突如リコールの対象となってしまう。中古車や長年乗っている車ならまだしも、新車だった場合は戸惑いを隠せないドライバーも多いはずです。
ところで、その「リコール」という言葉、きちんと理解している人は意外と少ないのではないでしょうか?
一部の旧車・年式の古い車に限った話ではなく、あなたの愛車も知らないうちにリコールの対象になっているかもしれません。そこで今回は、車のリコールの意味や、リコールを必要とした場合の対応について、査定に関するお話も含めご紹介します。
目次
リコールってどういうこと?
まず、リコールという言葉の意味を、正しく理解しましょう。あくまでも非があるのはメーカー側であることを知り、何がどう問題なのかを知ることが大切です。
リコールとは日本語で「召還」の意味
リコールとは英語で「recall」となり、日本語では「召還」の意味です。
すなわち、ある特定の車種について、設計段階および製造段階に何らかの原因があり、不具合が発生している・発生するおそれがあることが判明した車を、メーカーが回収・修理する制度のことを意味します。
分かりやすく言うと、メーカーで作った車に何らかの問題があることを発売後にメーカーが発見し、
「このままだと大変なことになるから無償で修理させてください!」
とアナウンスすることです。
もちろん、回収した車はメーカー側が修理代を負担するため、ドライバーの負担は車をディーラーまで運転して預ける際のガソリン代程度です。
リコールはメーカー側の義務であり、道路運送車両法にも根拠がある制度です。仮に、自動車メーカーがリコール義務に違反すると、同法に基づき厳しい罰則に問われます。
ちなみに、自動車だけでなくタイヤ・チャイルドシートなど、リコールは車のパーツ部分や安全装置にも適用されます。
件数はそれなりに多く、各種媒体でのチェックが必要
ドライバーの中には「ウチの車に限って」リコールはないと考えている人もいることでしょう。
しかし、残念ながらリコール対象となった件数は増加傾向にあり、国土交通省の調べによると平成29年度で370件以上のリコールが確認されています。
一度リコールの話が出ると、その影響は将来にわたり続くため、昔の車だから大丈夫と高を括っていると、手痛いしっぺ返しを食らうこともありますから要注意です。
自分で調べることもできる
とはいえ、十数年前に購入した中古車を今も乗り続けている場合、そもそも過去にリコールが出ていた車種なのか・前の持ち主が修理を済ませていたのか、不透明な場合も多いでしょう。
そのような場合、自動車メーカーのサイト、もしくは国土交通省のサイトで対象車の情報を得ることができます。
ただ、国土交通省のサイトでも、1993年4月15日から検索システムの情報がスタートしているため、その前の時代にさかのぼることは難しいかもしれません。
老舗・大企業のトヨタにおいても、リコール情報が確認できるのは1999年からとなっているため、年式が古い車の場合は不具合の対応に料金がかかることも想定しておきましょう。
自分の車がリコール対象だと分かった場合
次に、リサーチの結果自分の車がリコール対象だと分かった場合、どのような段取りで修理をお願いする必要があるのか、かんたんに流れをご紹介します。
やるべきことは決まっていて、しかも無償での修理となるため、そこまで思い悩むことはないでしょう。
メーカーへの連絡・ディーラーでの修理
ネット上の情報や各種メディアからの情報で、自分の車がどうやらリコールの対象となっていることを知ったら、速やかに各種自動車メーカーに連絡を入れます。
ただ、ほとんどのケースで購入したディーラー・販売店等から通知が来るため、その中で指定された場所(多くは住所最寄りのディーラー)に車を持って行って、修理をお願いすればOKです。
なかには例外的に通知が届かないこともあり、その場合は自ら確認するか、工場からの指摘を待つことになります。
本来、車検証の登録が正しくなされていれば、国土交通省は登録情報をメーカーに開示しているため、ハガキが届かないことはないはずですが、いくつか例外があります。
具体的には、以下のケースが該当します。
- 引っ越し後に車検証の住所を変更していない
- 逆輸入車を購入している
引っ越し後の住所変更忘れはドライバーのミスですが、逆輸入車の場合はドライバーに罪はありません。
しかし、メーカーから正式販売されていない車であることから、国内での通知は原則行われないため、逆輸入車を購入した場合はこまめにリコールに関する情報をチェックすることをおすすめします。
リコールを無視した場合のリスク
仮にリコールを無視した場合、どのようなリスクが考えられるでしょうか。結論から言えば罰則こそないものの、万一事故が起こった場合、安全義務違反として責任が按分されるおそれがあります。
そもそも、リコール発動となった場合、例外を除いてはメーカーからDMが届き、それでも放置していたら電話や催促を受けます。
これは、メーカー側としてもリコール後に回収・修理していない車両が市場にあると、その後問題に発展するおそれがあるためで、ドライバーだけでなくメーカーの利益にもつながる行為だからこそ、ここまで丁寧な対応を行うのです。
ちなみに、そのリコール内容が深刻なものの場合、回収・修理を終えていなければ車検に通らないケースもありますから、やはり無視せずに工場に届け出ることが大切です。
リコール以外にも発売後の回収がある
リコールは、道路運送車両に関する保安基準に適合していない車・適合しなくなるおそれがある車を回収する制度です。
これに対して、道路運送車両に関する保安基準は適合しているものの、メーカー側で不安を感じた部分がある、品質改善が必要と判断した場合などは、メーカーが車を発売した後で自主的に回収・修理する場合があります。
基準不適合とはならないものの、安全面などに問題がある場合の回収を「改善対策」と呼びます。
これに対して、安全上は何ら問題はないものの不具合が存在し、品質改善のために回収することを「サービスキャンペーン」という形で区別しています。
いずれも、メーカー側の都合のため、ドライバーに修理面での金銭的な負担はありません。連絡があった場合は、速やかに点検・修理をお願いしましょう。
リコールと査定の関係とは
リコール対応で気になるのは、中古車を買い取ってもらう際の査定時に、リコールの状況が関係してくるのか、という問題です。今後、自分の車を売却しようと考えている人にとっては気になるところだと思いますので、以下に詳細をご紹介します。
査定に影響はあるのか
まず、査定の時点でリコール対応を終えていない車は、何らかの不利益をこうむるのかについてご説明します。
この点についてはお店のスタンスによっても変わってきますが、市場全体の傾向としてお伝えすると、リコール対応の有無だけを理由に査定額が変わることはありません。
というのも、リコールとは1車種につき1回で終わる話とは限らず、年数が経過してから新たな不具合が発見されることも珍しくありません。誰もが名前を知る超有名な車でも、累計でリコール6回というケースがあるため、極端な話査定時には分からないこともあるのです。
査定価格はダウンするのか
賢い読者の方は、それなら過去にリコールが出ている車は、その分だけ買取額を一律で下げるのではないか?と考えるかもしれません。
あるいは、リコール対応を終えた段階で「修復歴あり」と判断され、査定額が低くなるのではないかと不安を感じる方もいると思います。
この問題も、売る側が心配することはありません。リコールは、基本的に買い取った側が修理代を負担する制度ではないため、査定価格に反映させない業者が多数派です。
※(多数派と書いたのは、日本には中古車買取業者が数多く存在するため、例外が全くないとは言い切れないからです)
リコール対応をしないまま運転している状況はさておき、少なくともリコール対応の有無が査定価格に影響することは基本的になく、あっても限定的であると考えてよいでしょう。
リコールが間接的に値を下げるケースも
リコール対応の有無で値段は下がらなくても、今後のリコールを想定して車の人気がなくなり、最終的に査定額が下がってしまう場合もあります。
先にお伝えした6回のリコールを出した車もそうですが、メーカーや車の評判が落ちて買い手がつかなくなると、最終的にその時期・その車種・そのメーカーに限って査定額が落ちることも考えられるのです。
優良な買取業者はきちんと理由を説明してくれますし、何はどうあれ、査定時に走れる車であれば値段はつきます。
リコールに関する限り、少なくとも買い取ってもらえないケースは稀と言えるでしょう。
おわりに
愛車がリコールの対象となってしまたら、知識のない人が不安を感じるのは当然のことです。しかし、適切に対処することで、車やおサイフに大きなダメージを与えることなく愛車に乗り続けることができます。
何らかの事由で車を手放すことになったとしても、査定業者はきちんと評価してくれます。もちろん、リコール以外の箇所に問題があれば、当然それは査定額に反映されますから、愛車はこまめに点検するようにしてくださいね。
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