車を運転している限り、全てのドライバーがリスクを避けられないのが交通事故です。運悪く、車をガードレールや他の車などにぶつけてしまうと、その車は原則として事故車という扱いになります。
中には、全損もしくはひどく損傷した車を修理するお金がなく、そのまま廃車にすることを検討する場合もあると思います。しかし、廃車などを扱う買取業者に依頼すれば、事故車でも未修理のそのままの状態で買い取ってもらうこともできます。
この記事では、事故車の定義や買取に関する疑問について、実際に売る場合の相場と合わせて解説します。事故にあった車の処分にお困りの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
そもそも「事故車」とはどういう車か
事故車に当てはまる車の種類は意外と多く、必ずしも全損車ばかりが該当するわけではありません。まずは、事故車の定義を理解した上で、どこに売れば良いのかを考えることが大切です。
事故車が定義する範囲は意外と細かい
事故車という表現は、いわゆる通称扱いではなく、きちんと定義された名称です。具体的には、以下の3つの団体が定めた規約の中で、明確に定義されています。
- 自動車公正取引委員会
- 一般財団法人 日本自動車査定協会
- 一般社団法人 日本中古自動車販売協会連合会(JU中販連)
事故車とは「車の骨格が損傷したことにより、損傷した箇所を過去に交換または修復した車」のことを言い、下記の箇所を損傷または交換すると、事故車という扱いになります。
①フロントクロスメンバー
②ルーフパネル
③フロントインサイドパネル
④フレーム
⑤ダッシュパネル
⑥ピラー
⑦ルームフロアパネル
⑧トランクフロアパネル
⑨ラジエーターコアサポート
①~⑧までは、骨格部分に損傷があるもの、または修復されているものが事故車として扱われます。ただし、ネジ止め部分は骨格の中に含まれません。
⑨のラジエーターコアサポートについては、交換され、さらに隣接する骨格部分にへこみ・曲がり・もしくは修復の跡が確認できるものが事故車に含まれます。
ぶつけたからといって、その時点で事故車になるわけではない
事故車の定義が厳密に決まっているということは、仮に事故を起こしたとしても、それだけでは事故車として扱われないことを意味しています。例えば、以下の部分を事故で修復したとしても、修復歴にはカウントされず、事故車扱いとはなりません。
- フロントバンパー
- ロアスカート
- フロントフェンダー
- ボンネット
- リアフェンダー
- トランクリッド
- リアバンパー
- サイドシルパネル
- ドア
ガードレールや対向車に車をぶつけてしまったとしても、それだけでは事故車になるとは限りませんし、きちんと修理していれば査定額に影響する可能性も低いでしょう。ただし、損傷の度合いによっては事故車扱いされることもありますから、詳しくは査定の際に担当者に確認が必要です。
ちょっと変わった事故車の定義
事故車と聞くと、交通事故や自損事故を想像しがちですが、それ以外の事情で同類の扱いを受けるケースもあります。例えば、以下のようなものが該当します。
- 台風や大雨によって車が沈んだ「水没車」
- 雹(ひょう)が降ってガラスやボディなどが壊れた「雹害車」
- 潮風で車がサビてしまう「塩害車」
- 工場や線路などから飛んだ鉄粉が付着した「鉄粉被害車」
- 家事などで燃えてしまった「火災車」
こういった車も、一般的な車両に比べて買取には制限が生じてしまいます。特に、車が全く動かない状態となると、ディーラー・中古車販売店での買取は厳しいでしょう。
事故車を買い取ってもらうにはどうする?
自分の車が事故車に該当する場合、車を買い取ってもらうことはできるのでしょうか。結論から言えば、きちんと修理をして問題なく走っているなら、そこまで深刻に考える必要はありません。
ただし、車の状態によっては、廃車買取を専門にしているところに相談した方が得になる場合があります。以下に、主なケースをご紹介します。
すでに修復が済んでいるならどこでも査定してくれる
事故車にカウントされる箇所が壊れたわけではなく、壊れた部分もすでに修理されているようなら、中古車販売店や買取専門店で広く査定してくれるでしょう。
年式がそこまで古くないなら、車両としての価値を考慮してくれるところも多いので、廃車を前提に考えなくても買い取ってもらえるはずです。
ただし、事故車にカウントされるにもかかわらず、その事実を隠していた場合は、悪影響が及ぶリスクがあります。特に、中古車を購入した際には告知されていなかったのに、査定に出したら事故車だと判明するケースもありますから、中古車を購入する際には注意が必要です。
ボロボロの状態なら廃車買取を専門にしているところに依頼する
車が見た目的にボロボロで、素人目に見ても値段がつきそうにないなら、中古車買取店よりも廃車専門の買取業者に相談した方がよいでしょう。中古車買取店は車全体を見て判断しますが、廃車買取を専門にしている業者はパーツ目線で車両の価値を決めるからです。
車の下部にサビが目立っていたとしても、エンジン周りの部品やガラス・ボンネットなどが無事なら、そのあたりを考慮した値段をつけてくれるかもしれません。
また、事故にあった状態のまま放置している車は、中古車買取店に売っても処分にかかる費用を請求されるおそれがありますから、こちらも廃車買取を選んだ方がよいでしょう。
その他、年式の古い車に関しては、コンディションが良くても廃車扱いとなってしまう場合があります。その場合は、中古車買取店に売るよりも廃車を想定した方が確実です。
ディーラーに下取りを依頼するのは微妙
ディーラーと付き合いがある人の中には、新車を購入する代わりに事故車を下取りしてもらおうと考えている人もいるでしょう。
しかし、ディーラーが下取りしてくれる車は、基本的に「自走できる」ことが条件になりますから、事故車の引き取りには余計な費用が発生するおそれがあります。自走できなければレッカー代もかかりますし、その分車も安くなります。
ディーラーが下取りする理由は、あくまでも車を購入する際の「おまけ」に過ぎませんから、あまり値段を期待しない方が賢明です。
ぶっちゃけ、事故車ってどのくらいで売れるの?
コンディションの良い車と比べると、事故車は相対的に安い値段で買い叩かれるものと考えられています。しかし、パーツの種類や状態によっては、元気な車よりも高値で売れる可能性もあり、必ずしも二束三文とは限りません。
続いては、事故車の相場について、一般的な相場観をご紹介します。ただ、個体差はあるものですから、相見積もりをとってから判断しましょう。
修復済みは相場よりも値が下がる
事故車に限らず、中古車は買取業者によって買取額が異なります。同じ車でも、10数万円以上の査定額の違いが生まれることは珍しくありません。修復済みの事故車となると、同じモデル・年式で比べた場合でも、最大で30~40万円ほどの減額が見込まれます。
修理の程度によっては5~10万円で済む場合もありますが、事故車はその後のコンディションに不安要素があるため、劣化のリスクを考慮して値が下がるのが一般的です。
未修復車は損害のレベルで判断する
未修復車の場合、単純に修理するお金がないから廃車にする方向性で考えるケースは多いと思いますが、逆に売ってしまった方が得になる場合もあります。買取店によっては、査定時に具体的な損害のレベル設定をしているところもあり、修理すべきか売却すべきかの指標になります。
レベルが高い分だけ修理代もかかるように設定されており、車体が一部損傷した場合から、大部分が修理不能な場合までの修理代が分かるようになっています。
低いレベルなら40万円を切る修理代に落ち着きますが、ボロボロの状態であれば新車を買うような値段にまで跳ね上がります。よって、明らかに修理した方がお金がかかると分かっているなら、廃車専門の業者に査定をお願いした方がよいでしょう。
少しでも高値をつけるためのポイントとしては、廃車専門の業者に査定を依頼する際に、不要なパーツも一緒に査定してもらう方法があります。パーツ次第で買取額が大幅に上昇する場合があることから、できるだけ純正パーツなどは捨てずに取っておくことをおすすめします。
ディーラーの下取りに期待しないこと
事故車の下取りはディーラーでもやってもらえますが、それはあくまでもサービスの範囲に含まれており、それほど高値がつくことはありません。下取りした後の車は、主にオークションに流れるため、状態の悪い車は敬遠されてしまいます。
信頼関係次第ではありますが、廃車費用を請求されるケースも考えられるため、事故車の処分を検討するならディーラーは適していません。特別な事情がない限りは、買取店に依頼することをおすすめします。
おわりに
事故車の買取は、今後その車を走らせることを想定した場合、どうしてもシビアになってしまいがちです。しかし、全く売れないわけではなく、廃車買取を専門にする業者に頼めば、むしろ高値で買い取ってもらえる可能性も十分あります。
逆に、走れる車を売っているディーラー・中古車買取店では、事故車を嫌う傾向に変わりはないため、下取りや売却を考えているなら慎重になるべきです。
どちらを選ぶにせよ、事故車自体は引き取ってもらえるところが見つかるため、自分で廃車にするよりも業者を頼りましょう。
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